蒼い瞳1
新庄一雄はこの所少し憂鬱な日々を過ごしていた。
理由はご多分に漏れず、会社の経営の事である。
この年、衆議院議員・自由民主党総裁の小泉純一郎が
第87代内閣総理大臣に任命された年である。
補助金削減、加えて地方交付税と財源対策債とを合わ
せて約2兆9000億円が削減された。
これにより地方自治体に大きな衝撃を与えた年であった。
そんな影響が地方の中小企業にもジワジワと影響が押し
寄せ、会社の舵取りも難しくなってきていた。
新庄の会社は官庁関係の仕事が全体の30%を占めていた
当初は随意契約が多く経営もそこそこ安定していたが
最近は参入会社が増え入札による契約が多くなり、酷い時は
50%ダウンで落札する業者も増えてきていた。
そんなある日の午後、役所勤めの旧友の渡部から誘い
があり夕方落会う事に決めた。
心のなかの鬱積をぶつける良い機会だと思うだけで
少なからず心が晴れる自分がいた。